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2023年3月21日 (火)

[国の借金は問題ない]って本当ですか?

「[国の借金は問題ない]って本当ですか?」森永康平 技術評論社
副題に~森永先生!経済ど素人の私に、MMTの基本を教えてください。
森永と読むと、てっきり森永卓郎だと思い込んでいました。
森永卓郎というと、反政府、反自民で、読まなくても中身は分かるな、と思い込んでいました。
あれ、別人じゃん、森永康平、経済アナリストで大学教授じゃないのだ。
知らんかった、二人は親子なんだそうです。

この本、目次がありません。
素人が疑問を呈し、プロが答える、という問答形式になっています。
題名がこの本の趣旨を語っています。
くどいくらい、平易に解説しています。
[国の借金は問題ない]なるほど、と理解が進みます。
ギリシャやレバノンが国債の償還が不可能になったのは分かります。
フランスやドイツは国債の償還が不可能になることはないのか。
自国通貨じゃないユーロで国債を発行するからねぇ。
こういう場合はどうなるんだろう、そこも解説してほしかった。

第1章 「国の借金は問題ない」って本当ですか?
第2章 「銀行がお金を生み出している」って本当ですか?
第3章 「税金は国の財源ではない」って本当ですか?
第4章 「ハイパーインフレは起きない」って本当ですか?
第5章 お金とMMTにまつわるQ&A集
第1章~第4章までの、本当ですか?は 本当です。わたしも納得できます。
ここまで実に説得力がある。

第5章についてですが
「消費税は平等な税制」って本当ですか?
「消費税は預かり金である」って本当ですか?
「少子高齢化で経済成長できない」って本当ですか?
「日本経済は成熟しきったから成長できない」って本当ですか?
「終身雇用制度が経済成長を鈍化させた」って本当ですか?
「公共事業は税金の無駄遣い」って本当ですか?
「中小企業の生産性が低い」って本当ですか?
これからの日本経済はどうすればいいんですか?
最後の質問を除いて、本当ですか、の回答は、いいえ、違います、です。

視点が定まっている。ちょっとこの人に注目して行きたいです。

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2023年3月16日 (木)

うさぎ玉ほろほろ

「うさぎ玉ほろほろ」西条奈加 講談社
江戸は麹町で南星屋(なんぼしや)という菓子の店です。
「まるまるの毬(いが)」「亥子ころころ」に次ぐシリーズ第三作目です。
治兵衛(爺)、お永(娘)、お君(孫)の三人と職人の雲平の四人でお話を運びます。
いずれは雲平がお永と入り婿になろうかという気配です。
連作短編で、菓子の名前が短編のタイトルに嵌まっています。
最後の二篇「石衣」と「願い笹」は連続もの、一篇には納まり切れなくて、前編後編になっています。
鹿蔵という中間がこの巻には出てくる。実は御小人目付の配下で、中間は仮の姿、隠密なのだ。
各地の菓子の名物を再現してお話を繋ぎます。
グルメ小説でもありますよねぇ。

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2023年3月15日 (水)

神主はつらいよ

「神主はつらいよ」新井俊邦 自由国民社
著者は埼玉県川越市の古尾谷八幡神社の神主、他に13社の神主も兼務している。
現在、日本には20万の神社があって、神社本庁に属する神社が8万、宮司が1万人。
つまり、7万の神社はどこかの宮司が兼務しているわけです。
父親が脳梗塞になって、急遽、神主を受け継ぐことになりました。
収入面では、神職とは全然当てになりません。
前職がエンジニアなので、中小企業診断士を兼職しています。
主に、穢れについて語っています。
神社は清浄を旨として、罪穢れを厭うところです。
総代の力添えが無ければ神社は成り立つものではありません。

読みながら、忸怩(じくじ)たる思いに襲われました。
集落には牛馬の神さんである大仙さんの祠があります。
昔はどこの家も牛を飼っていましたが、今ではどこの家でも牛は飼っていません。
大仙さんの祠の祭礼を中止しました。
限界集落、高齢集落で、もう祭礼を維持することが困難になりました。
祭礼はできなくなりました、まちから宮司さんに来てもらっていましたが、中止をお願いしました。
あらためて、ちくちく心が痛みます。

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2023年3月14日 (火)

おれは一万石

「おれは一万石」千野隆司 双葉文庫
竹腰正紀、美濃今尾藩三万石の次男なのだ。
出だしは将軍家御前試合で決勝で下妻藩の井上正広と対戦する。
結果は敗れた。
正紀に婿入り話がある。
相手は下総高岡藩一万石井上家、京という姫がいて婿入りするのだ。
挨拶に、ということで、高岡藩邸を訪問した。
門前に百姓がいて、門番から追い払われている。
話を聞いてみると、下総小浮村の名主の息子で、利根川が洪水で決壊しそうだ。
杭二千本が必要だ。藩で用意していただきたい。
わかった、殿に伝えよう。
藩は手元不如意でどうにもならない。
まだ婿入りもしていないうちから、心を砕き、足を延ばし、なんとか杭二千本を手当てした。
ここから堤防の補修に百姓と共に奔走する。
婿入り話には反対派がいます。
竹腰家は尾張徳川家の流れ、井上家の血統を守ろうという反対派がいる。
高岡藩の井上家、下妻藩の井上家、双方手を結んで、井上家を守ろうという動きがある。
書き下ろし文庫のシリーズ第一作です。
端緒の巻は婿入りの手前まで、この先、長いシリーズが続くのだろうと思います。

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2023年3月11日 (土)

南海ちゃんの新しいお仕事 階段落ち人生

「南海ちゃんの新しいお仕事 階段落ち人生」新井素子 角川春樹事務所
わたし、高井南海、階段から転がり落ちる癖がある。傷しても骨折してもたちまち治ってしまう。
その時、痛いの痛いの、飛んでけぇ!と呪文を唱えるんですよ。
それを見ていたのが、板橋徹也、靄が見えるのだ。その靄に大勢が引っかかって怪我したり死ぬ。
板橋は有名会社の常務、板橋は南海をリクルートする。
板橋が靄を見つけて南海が靄に触って粉砕して無力化してしまうのだ。
南海はみなみと読みます。
そうですよ、ラノベです。
南海のモノローグで書かれています。
会話と心のだだ漏れが混然一体となって、饒舌体、連綿体、さらりとは読みにくい体裁になっています。
文中に、丁寧体とぞんざい体が混載されていたら、読む視点が定まりにくいでしょ。
遠慮はありません。自由奔放に語っています。
著者の新井素子はラノベの草分けだと言われています。
女学生言葉のような新口語文、彼女の創作によるものです。
その舌足らずの口語で哲学を語るのです。

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2023年3月 8日 (水)

追想の探偵

「追想の探偵」月村了衛 双葉社
神部実花は雑誌の編集者。
黎砦(れいさい)社の「特撮旬報」を担当している。
黎砦(れいさい)社とは零細(れいさい)社と語っているのだろうなぁ。
現代のジブリ映画や新海誠のコミックス・ウェーブ・フィルムを語っているのではない。
40年前ころの古いマンガムービーを語っているのだ。
雑誌の特集ということで人探しをしている。
濤映(とうえい)だの、宝塔(ほうとう)だのと隠しているが、東映や東宝ということはありありと分かる。
東映マンガ祭りだの東宝マンガ祭りや初期のテレビフィルムが関係してくる。
人探しといっても、亡くなっていたり、消息不明になっていたり、それでも探すのだ。
なんて言うんでしょうね、読んでいて寂しくなる、空しくなる。
零細社の仕事は大変だ。
感情移入することなく、突き放して最後まで読みました。

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2023年3月 6日 (月)

覇王の轍

「覇王の轍」相場英雄 小学館
キャリアの警察官僚、樫山順子警視は北海道警察捜査二課長を命じられた。
道警捜査二課では、東京警視庁と合同で道庁職員の汚職事件を捜査している。
女子管理職職員が納入社側から収賄して、その金を新宿歌舞伎町のホストに注ぎ込んでいるのだ。
捜査していると、別件が浮かび上がってきた。
札幌ススキノで国土交通省の技官が不審死していること。
下請けの電気工事会社の職人が死んだことに別の事情があるのではないか。
樫山課長はキャリアに似げなく、真相に突き進んでいく。
北海道警、JE北(JR)、運輸機構、それぞれ表に出せない伏せたい事情があるのだ。
北海道警には佐々木譲の道警・大通署のシリーズがある。
これはノンキャリアから道警を見たもの、こっちはキャリア側からの接近なのだ。
樫山警視、全面敗北、いや、再起、リターンマッチが始まる。

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2023年3月 4日 (土)

機捜235

「機捜235」今野敏 光文社
機動捜査隊、略称、機捜は警視庁刑事部本部に所属する。渋谷署に分駐しているが、身内のような、身内じゃないような。
覆面パトカー、私服で密行して犯罪者に対処するのだ。
9篇の短編集。
俺は30そこそこの中堅、相棒が骨折して、新しい相棒がきた。
冴えないおっさん、あと3年で定年の、白髪の年寄りじゃないか。
最初は敬語で話していた、次第にタメグチで話すようになった。縞さん、高丸。
意外にも、縞長、特技を持っている。
見当たり捜査の達人なのだ。指名手配の写真を見て覚えて、巷の雑踏の中から見つけ出すのだ。
さらに、柔道三段、合気道五段、犯人逮捕は確かなものだ。
短編だから、伏線を蒔いたり回収したり、そんな余裕はない、一直線に逮捕に向かっていく。
短いページ数で溜飲を下げてくれる、気分爽快になること請け合います。

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2023年3月 3日 (金)

日本史を暴く

「日本史を暴く」磯田道史 中公新書
読売新聞に連載されたものです。
一節がほぼ3頁の短文です。
毎月一回の連載だから、読み忘れもあります。
こうして一冊の本で刊行されると、前後の脈絡も繋がってくる。
サブタイトルに[戦国の怪物から幕末の闇まで]とあるように、幅が広い。
戦国、江戸期、幕末と、時代を章立てしてある。
別に、疫病と災害が一つの章に立ててある。
古物商から購入した箱入りの古文書の中に庶民の道中記がある。
大和高田の薬種商、喜右衛門の文書。
宿場の女郎を買って、600文(三万円)、この男絶倫のようで、毎晩女を買っている。
江戸に出て、吉原の花魁を買って全一両(三十万円)。
新聞に連載中なんだが、この記事は読み損ねていたなぁ。
天下の大新聞に女郎買いのお話が載るとは、いやはや。
産経新聞に、本郷和人の[日本史ナナメ読み]があります。
毎月一回の連載で、これも愛読しています。

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2023年3月 2日 (木)

2月に読んだ本

2月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:5193
ナイス数:156

審議官審議官感想
[空席]神奈川県警刑事部長時代。大森署は前署長は神奈川県警にに離任、新署長はまだ赴任していない。緊急配備の要請が二件押し寄せた。副署長以下署幹部はパニックになる。どうする?[内助]大森署時代。管内で焼死体が出た。竜崎の妻冴子はデジャブー、どこかで同じ事件があったような感覚に襲われる。カンはピタリ。見事に犯人を指し示す。[荷物]大森署時代。長男の邦彦が外国人から荷物を預かる。受け取る人が電話に出ない。思い余って、荷物を開けてみると、白い粉が入っていた。[選択]大森署時代。長女美紀はチカン騒動に巻き込まれた。
読了日:02月28日 著者:今野 敏


石礫 機捜235石礫 機捜235感想
機動捜査隊、警ら隊。私服で覆面パトカーの機捜、制服で白黒パトカーの警ら。コールサインの機捜235の意味は、2は第二機動捜査隊、3は第三方面を、5は個別の車両番号。機捜歴が長いから中堅の高丸がパト長、縞長はうんと年長だが、サブの役目。さえない年寄りポリに見えるが、縞長は見当たり捜査の達人なのだ。指名手配書を見て覚えて、雑踏の中で指名手配者をピックアップできるのだ。車中からコンビニに入る人物を見て、停めてくれ。企業爆破事件の指名手配者だ。逮捕して、コンビニの防犯カメラの画像を見ると、共犯者がいるぞ。ここからは
読了日:02月27日 著者:今野 敏


0 ZERO0 ZERO感想
堂場瞬一にしては珍しく、警察もの、新聞記者もの、スポーツものではない。小説家の物語なのだ。初老の作家がいる。エンタメ畑の小説で権威を確立している。最初は純文学がでスタート。すぐにエンタメ系に転じた。同じ高校大学の後輩で小説家がいる。弟子と言ってもええでしょう。巨匠が亡くなり、弟子は師匠の評伝を書こうと志す。とっても読みづらい本なのだよ。興味が湧くお話ではない。構成の都合上、77ページの小説がアンコで挟まっている。この小説が読みづらいのだ。読む気がしない。読み飛ばしてしまった。いつもの堂場瞬一とは違います。
読了日:02月26日 著者:堂場瞬一


風の値段風の値段感想
天木警部補、居酒屋で野球経験者と友達になった。相談を受けた。その会社は風力発電のベンチャー企業なのだ。洋上発電で、浮体式風力発電を目指している。転職してきた技術者が前の会社の技術データを会社のサーバーに置いている。特許などに抵触するのじゃなかろうか。詳しく聞いてみると、その技術者は大学時代のチームメイトじゃいか。彼はピッチャー、天木はセカンドだった。署内に報告して、不正競争防止法違反で調べることになった。捜査の結果、逮捕して取り調べることになった。チームメイトと向き合って調べる。できるか、お前。やらせてく
読了日:02月24日 著者:堂場 瞬一


剣持麗子のワンナイト推理剣持麗子のワンナイト推理感想
剣持麗子は大手弁護士事務所の弁護士だ。当然、企業法務が仕事で報酬は桁違いだ。亡くなった先輩弁護士の仕事を引き継ぐことになった。民事訴訟、民事相談で、金にならない。当然、昼は表の仕事をして、夜にパートタイムの仕事をするしかない。最初のクライアントはホストクラブのホストで、源氏名が信玄、本名が黒丑益也。クロウシマスヤ=苦労しますや、本人は自分の名前が嫌いなのだそうな。報酬を取りはぐれる。カラッケツなのだ。短編集なのだが、全部の短編に絡むことになる。江戸川乱歩や横溝正史の探偵小説を、現代の姿で提供したものです。
読了日:02月19日 著者:新川 帆立


固結び 損料屋喜八郎始末控え固結び 損料屋喜八郎始末控え感想
喜八郎の営む損料屋は表の顔、喜八郎の前職は北町奉行所の同心で、奉行所を裏で支える人なのだ。7編の短編集。なんとも古いなぁ。とても現代の語り口とは思えない。山本一力好みの読者にだけ物語を広げるんでしょうね。落語の人情噺、浪花節と、まぁ、似たようなもんです。様式美というやつですね。好みが合おうと合うまいと、押し切ってしまうのが山本一力なんですね。これで最後にしよう、これっきりにしよう、と思っても、新刊が出ると手に取ってしまうんですね。いやいや山本一力はこれで仕舞いにしよう。損料屋喜八郎のシリーズは終わりでしょ
読了日:02月17日 著者:山本 一力


芦屋山手 お道具迎賓館芦屋山手 お道具迎賓館感想
[上流階級 富久丸百貨店外商部]のスピンオフだと思って読み始めた。違った。茶道具の古いのには付喪神が取り付く、彼らの座談会パーティの様子でした。信長の時代、秀吉の時代から、名器は選りすぐられて名物と名前を高めていく。淡交社の雑誌「なごみ」に「けっこうなおてまえ」として連載されたもの。小説としては型破りな、衝突混乱を期待してはいけない。芦屋の山手で高座の滝の近くのお屋敷でのことです。このお屋敷のあるじは、先生と呼ばれ、リタイヤしているようで、動かずとも投資が結実しているのだ。ほうっかむりさんというアラブ人が
読了日:02月15日 著者:高殿 円


倒産続きの彼女 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)倒産続きの彼女 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
山田川村・津々井法律事務所に勤める剣持麗子ですが、今回はサブの役割。ヒロインは美馬玉子。ゴーラム商会が倒産しそうだ。倒産法務の案件なのだ。通報があって、経理部の近藤まりあが過去に勤めた三社が倒産している。ゴーラム商会も近藤まりあが潰そうとしていると告げる。美馬玉子と剣持麗子は近藤まりあを担当することになった。過去の三社を調べたが、倒産するべくして倒産したのだ。ここから先はネタバレになるから語らない。著者は現役の弁護士です。弁護士とはそんなことをするの、どこまでやると逸脱行為なの。そっちのほうが興味を引かれ
読了日:02月13日 著者:新川 帆立


涅槃 下涅槃 下感想
城を攻め落とされてお福が宇喜多直家を頼ってきた。自然に後妻に収まるのに時はかからなかった。ねやの描写がねっとりと数ぺーじにわたって続く。題名が「涅槃」であるのに、領内の経営の描写や領土拡張の手順も自然な筆致なのに、ねやの描写はトッテツケタように思える。商家に育っただけに、武将の心得に従わず、商機・経営の心得で動く。そのあたりは、自分の育った流域から本拠地を動かすあたりにもうかがえる。現在の岡山市に石山城を建てた。岡山市の繁栄はここから始まった。織田と毛利の間で、二転三転、去就を替えた。これも商機を図ること
読了日:02月12日 著者:垣根涼介


涅槃 上涅槃 上感想
宇喜多家は悪評のほうが多いです。関ケ原での敗戦、「宇喜多の捨て嫁」などの小説。これらが基になっています。没落した宇喜多を再興するお話です。宇喜多八郎は城を追われてかつかつに生きていた。町が好きで、豪商の阿部善定に気に入られた。八郎はまだ14歳か15歳、巷の女店主にねやのあれこれを伝授された。週刊朝日ですよ、数ページにわたってねっとりと書き込まれている。八郎は浦上の軍勢に従った。兜首を上げて、乙子城を得た。砦よりましな程度の破れ城だった。米の石高は望めない。運上に賭けた。吉井川の船に運上をかけた。直家と名乗
読了日:02月11日 著者:垣根涼介


花下に舞う (光文社文庫 あ 46-13)花下に舞う (光文社文庫 あ 46-13)感想
弥勒シリーズの読み残しです。最新刊が出版されて間に読み残しがあると分かってきた。始まりは、因業な金貸しが殺された。後妻も道連れに殺された。二人とも、死に顔はびっくりしたような顔だった。犯人は分かりました。金を借りた商人だった。その下手人も匕首で咽喉を突いて自殺した。これで一件落着、奉行所はそのように裁いた。いえいえ、これにはもっと深い真相があるのです。同心の小暮新次郎が活躍する巻です。遠野屋清之介の商売の場面が出てきます。新機軸のビジネスを広げて行きます。このような脇筋を交えて小説が展開していくから面白い
読了日:02月08日 著者:あさのあつこ


鬼を待つ (光文社文庫 あ 46-12 光文社時代小説文庫)鬼を待つ (光文社文庫 あ 46-12 光文社時代小説文庫)感想
「乱鴉の空」を読みました。あれれ、これは弥勒シリーズだ。シリーズの中間の二作をまだ読んでいない。読まなきゃ。殺しだ。咽喉に五寸釘が突き刺さっている。殺されたのは大工の棟梁。続いて豪商の主人が殺された。これも五寸釘で咽喉を突き通してある。主人公の遠野屋清之介に商戦を挑んできた。清之介は商談を断った。姪を嫁にと誘いをかけてきたが、きっぱり断った。その矢先に豪商は殺されてしまった。殺しの仕掛けは生まれ故郷の嵯波藩からだった。このシリーズ、主人公は商人なのに、生まれ育ちの武士の縁が沸き上がってきて、話が複雑になる
読了日:02月07日 著者:あさのあつこ


ハヤブサ消防団ハヤブサ消防団感想
三馬太郎はミステリー作家だ。太郎の両親は離婚して、太郎は母方に引き取られたが、父が亡くなって、地所を相続した。その父の実家に引越した。誘われてハヤブサ地区のハヤブサ消防団に入った。入団以来、火災が続く。放火なのか失火なのか判然としない。ソーラー発電のセールスがハヤブサ内に動いている。火事に遭った家がソーラーを断った家だと分かってくる。ソーラー設備の業者はオルビス十字軍の別動隊だと分かってくる。これ以上、内容を紹介するのはやめておきます。池井戸潤はビジネスノベルで名高いです。「半沢直樹」「下町ロケット」など
読了日:02月06日 著者:池井戸 潤


木挽町のあだ討ち木挽町のあだ討ち感想
ここは木挽町、歌舞伎の森田座の芝居小屋があります。ここの裏通りで仇討ちがありました。少年が六尺豊かな侠客を討って、首を切り取った。後に、あだ討ちの縁者が事のいきさつを聞いて回る。順番に、芝居芸者、立師、女形、小道具方、戯作者。芥川龍之介の「藪の中」黒澤明監督の「羅生門」は聞けば聞くほど誰もが嘘を語る。そんなのじゃないよ。ただのあだ討ちじゃないのだよ。実はねぇ、このお話には裏があります。父親が死んだ背景も違うし、あだ討ちの手順も違う、狙いも違う。芥川龍之介そこのけ、黒澤明監督そこのけ、もっと違うお話なんだよ
読了日:02月04日 著者:永井 紗耶子


乱鴉の空乱鴉の空感想
「弥勒」シリーズの最新刊なんですが、「弥勒」シリーズとは名乗っていない。設定も登場人物もシリーズそのままなんですが、なぜそう名乗らないんだろう。冒頭、主人公の一人の小暮新次郎が行方不明になった。手下の岡っ引き伊佐治も大番屋に引っ立てられた。遠野屋清之介は伊佐治の釈放に動く。小暮新次郎が姿を現すのは、物語の9割も進んだ頃に出てくる。なんで隠れたのか狙われたのか、いまいち事情が呑み込めないなぁ。まれ吉という新キャラクターが登場する。手品を得意とする。この巻だけの登場なのか、この先も活躍するのか。楽しみ。
読了日:02月02日 著者:あさのあつこ

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