1月の読書メーター
読んだ本の数:13
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いつかの朔日の感想
十話から成る家康の一代記です。語り手は鳥居元忠、家康が今川に人質にされていたころ、小姓として仕えていました。一話から五話では家康の父・祖父の時代、家運が傾いて城は奪われ世子は人質に。六話で桶狭間の合戦、今川義元は斬り死にし、松平元康は空き家の岡崎城を取り戻す。七話、徳川家康と名を改め、三方ヶ原の合戦で武田信玄に負ける。八話では本能寺の変で織田信長が死に、家康は伊賀越えして三河に帰る。九話、十話では、小牧長久手の戦い、関ケ原の前哨戦。鳥居元忠は伏見城を守り、八月一日まで十三日間城を守った。あまりにも飛び飛び
読了日:01月29日 著者:村木 嵐
臨床の砦 (小学館文庫 な 13-7)の感想
これはコロナ戦記です。長野県の筑摩地区、ここでのコロナの指定病院は信濃山病院。他は地区基幹病院の筑摩野中央医療センターだけだ。まず信濃山病院で受け入れて、エクモがある筑摩野センターで最終対応するのだ。医師看護師は臨戦対応で、疲弊していった。他の病院はコロナ患者の入院を拒んで、二つの病院だけが治療している。院内感染を起こして、病院を閉ざした。やっと、他の病院も受け入れるようになった。筑摩野センターへ送る患者は選別した。若い患者を送ることにした。認知症・疾患のある老齢患者はここで看取ることにした。治る見込みが
読了日:01月25日 著者:夏川 草介
花咲小路二丁目中通りのアンパイア (一般書)の感想
花咲小路シリーズには前作が7作あります。これは最新、八作目。宇部禄郎は末っ子で長男、姉が四人いて、みんな商店街の商店にそれぞれ嫁いでいる。もともとは警察官だったが、退職してたいやきやの【たいやき波平】を継いだ。禄郎には嘘が分かってしまう。高校の時、野球でアンパイヤを殴ってしまう。ストライクだなと思ったが、判定はボールとコールしてしまった。ネット裏でストライクでしょと抗議したが、ボールだと嘘をつかれて殴ってしまった。恋人ができて、もうすぐ結婚する。決め手は全然嘘をつかない女の子だからだ。そのアンパイアが近所
読了日:01月24日 著者:小路 幸也
東大病院をやめて埼玉で開業医になった僕が世界をめざしてAIスタートアップを立ち上げた話の感想
筆者は灘高東大医学部を経て育った人です。医学でも、研究より開業するほうに魅力を感じていました。医者の少ない埼玉で開業しました。内視鏡では第一人者で、内視鏡でセンターを造ることを志しました。起業するには自己資金がいる。一億円作るこを目指しました。一億円作りました。[AIメディカルサービス][ピロリ菌鑑別AI]を立ち上げました。AIにディープラーニングを装備して半自動化しました。当時は内視鏡の医学誌論文の三分の一は日本人の書いたものでした。多忙となり、クリニックからは手を引いて、ベンチャービジネス一本に絞りま
読了日:01月23日 著者:多田 智裕
任侠梵鐘の感想
シリーズものです。過去のはいずれも経営を建て直すお話しです。これはそうじゃない。テキヤの親分が訪ねてきて、某神社の祭りから露店をやめることのなったと世間話があった。おい、行くぞ、その駒吉神社に行ってみよう。聞けば、町内会で露店を出すのだそうな。世間話のついでで、近くの西量寺で鐘の音に苦情が出て、日夜の勤行、除夜の鐘も遠慮してくれと申し入れがあったそうな。さあ、阿岐本親分、燃えました。これはなんとかしなきゃならない。代貸の日村は、また親分の道楽が、と冷静だが、組員の若いもんは張り切っている。お話しの始まりは
読了日:01月21日 著者:今野敏
スピノザの診察室の感想
主人公は雄町哲郎、京都の大学の医局にいた。妹が亡くなった。遺児がいる。育てるために医局を退職した。町医者の原田病院にいる。彼を含めて四人の勤務医で回している。大学の医局と町医者で何が違うか。医局では患者を診ていない。病気だけを見ている。町医者は患者がよく見えている。懐事情も分かるのだ。スピノザとは哲学者。スピノザの論じるところは詳しく語っていない。原田病院を見ていれば、スピノザの何たるかは伝わってくる。看取り医者というのを初めて知りました。著者は現役の医師でした。執刀の描写、問診のあれこれ、手に取るように
読了日:01月20日 著者:夏川 草介
この世にひとつの本 (創元推理文庫)の感想
門井慶喜は歴史小説で名を成していますが、小説家の出発は推理小説です。ミステリーではあるが、犯人を探す本ではない。大きな印刷会社があります、そこの社長が書家のパトロンになっている、その書家が失踪した。印刷会社の従業員が白血病で三人連続して亡くなった。この二つが絡まって進行して行きます。社長の三男が会社にいます。極めて凡庸で、どこの部所にいるのやら、そこは書いていない。書家の失踪人探しを始めたが、この男意外に切れる。万事解決してメデタシメデタシですが、どう探したのか、どう切り込んだのかがお話しの趣旨です。そこ
読了日:01月18日 著者:門井 慶喜
気の毒ばたらき きたきた捕物帖(三)の感想
[気の毒ばたらき][化け物屋敷]中編2篇。亡き千吉親分の生業の文庫屋は筆頭子分の万作が継いだ。北一は親分のおかみさんの許しを得て、文庫屋を引き継いだ。きたきたとは、北一と風呂屋の釜焚きの喜多次のことなのだ。二人は相棒なのだ。万作の家が焼けた。近所も類焼した。それは気の毒な、元気を出すんだよぅ。焼け出された避難先で親切に声を掛けるやつがいる。親切ごかしの泥棒なのだ、現代用語なら火事場泥棒。万作は文庫屋を畳んで朱房の文庫は北一だけになった。なし崩しに[化け物屋敷]が始まる。30年前の女の雲隠れ事件が気にかかっ
読了日:01月16日 著者:宮部 みゆき
婚活マエストロの感想
[婚活初心者][婚活傍観者][婚活旅行者][婚活探究者][婚活運営者][婚活運営者]主人公は40歳のウェブライター。アパートの大家から婚活の会社のホームページに手を入れる仕事を紹介された。ドリーム・ハピネス・プランニング、という社名なのだ。社長と女子社員鏡原、婚活マエストロとして知られている。鏡原本人は、わたしは女性だからマエストラと名付けてほしいのにな、と苦笑いしている。雑誌連載の連作短編です。幾つもの婚活の場をくぐって、婚活本来の目的へと目指していく。ここで残念なお知らせがあります、ハッピーエンドには
読了日:01月13日 著者:宮島 未奈
夜刑事の感想
ウィルスが蔓延している。ヴァンパイアウィルス。日光で皮膚が火傷する。日が暮れないと目が開けられない。夜だけしか活動できない。俺は刑事だが、日没から夜明けまでの勤務に替えてもらった。ウィルス感染者は世間一般から締め出されて不法な輩に落ちて行く。警察官でウィルス感染者は俺ひとり、活動領域を得た。感染者のなかで無常鬼という組織がある。その中にも穏健派と過激派がいて、主導権を争っている。ウィルス攘夷主義者もいて、グリーンボマーが感染者を襲撃している。刑事としての目的はワクチン開発できる科学者を捜索して保護すること
読了日:01月11日 著者:大沢 在昌
茜唄(下)の感想
屋島の戦いで平家は源義経に敗れた。壇ノ浦の戦いにも敗れた。敗れ方が従来の史伝とはちょっと違う。今村翔吾流の解釈なのだ。そこはこの本のキモだから自分で読んでね。上巻で、二つの流れがあると述べたでしょ。平家物語の伝承なんですよ。詞章を考えたのはだれそれ、曲付け節回しを考えたのはかれそれ。それが誰かは明かさない。自分で読んでくれなくちゃ。平家の動静肉声は豊富に出現するが、源氏の動静肉声はほとんど出てこない。巻末で、源頼朝の肉声が出てきます。頼朝は現世の政権を得た。琵琶歌の平家物語は千年の寿命を得た。茜唄とはそう
読了日:01月10日 著者:今村 翔吾
茜唄(上)の感想
二つの流れがあります。それぞれの間に数十年の時間差がある。平家物語の琵琶曲の伝承、受け継ぐのは元は木曽義仲軍の従者、渡す人物は不明。違う流れは平家。平清盛の四男、平知盛、只今の平家の棟梁は三男の平宗盛。清盛の死後、全国各地に反乱が起きた。木曽義仲が都に迫ってくる。平家は都を捨て、福原へ、さらに八島へと拠点を移して行く。上巻の巻末は岡山の水島での海戦まで。勝った。ずっと平家内部の言い合い・抗争ばかりで、源氏のことについては全然書いてはない。平家の旗は赤、源氏の旗は白、だからタイトルが茜唄なのだな。下巻の展開
読了日:01月09日 著者:今村 翔吾
完全犯罪の死角 (刑事花房京子)の感想
大塚家具を思わせるような沢渡家具があります。先代社長は亡くなりましたが、子どもが二人います。兄は経営は無能で専務、沢渡要次、妹は有能で社長、沢渡留理。兄の母親は正妻、妹の親はお妾さんです。冒頭、留理が要次と女秘書を殺す場面から始まります。警視庁捜査一課の花房京子が捜査に当たります。刑事コロンボとそっくりです。犯人のちょっとしたほころびから真相に辿って行きます。刑事花房京子はシリーズで4冊あります。これはシリーズ初作です。3作目までは倒叙もの、犯人が分かっていてるものでしたが、4作目はさすがに正叙ものに方針
読了日:01月02日 著者:香納諒一
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「しぇるぱ散らし踏み」
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