無料ブログはココログ

2023年10月 4日 (水)

三河雑兵心得 小田原仁義

「三河雑兵心得 小田原仁義」井原忠政 双葉文庫
徳川家家中での植田茂兵衛の立身出世物語です。
小田原の北条家討伐で家康は先鋒をいいつかった。
初戦は箱根山腹の山中城、撃破して次は伊豆の韮山城。
茂兵衛の視点で書かれているから、小田原城、関東一円の戦線などは書かれていない。
出城の攻防について、かなり細かく書き込まれている。
小田原城は降伏した。
徳川家康は旧地を返上して、関東一円を所領にたまわった。
大物の武将には何十万石・何万石が与えられるが、茂兵衛にはいくらなのか、そこは書いてない。
このへんは、NHKどうする家康と同時期なので、読んでいて、武将の顔が役者の顔で現れてくる。

読書メーター

広島ブログ

2023年10月 2日 (月)

鷹の惑い

「鷹の惑い」堂場瞬一 講談社
公安一課、管理官の海老沢、極左の幹部が仙台で逮捕された。
護送するため仙台に出張した。新幹線の中で服毒自殺で死んでしまった。
捜査一課、管理官の高峰、他殺事件を捜査していた。
被害者の経歴にには代議士秘書の経歴がある。
捜査するうち、被害者の過去に極左の経歴があるのが分かってきた。
高峰は海老沢にタイアップを申し出た。二人は警察同期でたまに会うことがあるのだ。
背景が解ってきた。
この先はネタバレになるから語れない。
題名が鷹の惑い、鷹とは公安を意味する。
もう極左など社会に何の影響も及ぼさない。
対象が消滅すると、公安一課の存立基盤がなくなってくる。
それが惑いなのだ。

読書メーター

広島ブログ

2023年9月29日 (金)

極楽征夷大将軍

「極楽征夷大将軍」垣根涼介 文芸春秋
鎌倉幕府の終わり、足利高氏(尊氏)足利高国(直義)高師直、この三者の物語です。
後醍醐天皇の命によって周囲を斬り従えた。
当初はお褒めに預かったが、朝敵となった。
脇役に、赤松円心、楠木正成、新田義貞、北畠親房。
兄は極楽者、なんにも考えてはおらぬ。
弟は切れ者、政庁の屋台骨は弟が支えている。
足利家家宰の高師直は戦下手、軍事面はからっきしで、政務にのみ適している。
室町幕府の始まりをわたしは知らんのです。
この本で、そういう成り立ち・経過で始まったのかと理解が及びました。
さて、四つに分かれた最終章で始まるストーリーには触れずにおきますね。
最初から半ばごろまで、トントンと読み進められます。
後醍醐天皇方の負けが濃厚になったころから、読み進めるのが苦痛になってくる。
歴史の事態は変えようがないので、筆力もそこはしょうがないのでしょうね。

読書メーター

広島ブログ

2023年9月23日 (土)

NHKが悩む日本語

「NHKが悩む日本語」NHK放送文化研究所
副題に、放送現場でよくあることばの疑問
QアンドA、視聴者が悩みを提示して解決篇を提示するスタイルです。
重箱の隅をつつくような質問で、どうでもええんだがねぇ。
お正月か正月か
水道管が凍る 水道管は凍らない、水が凍る なるほど、その指摘は正しい
爪痕を残す 本来悪い意味で使用するはずです 印象付ける 成果を挙げる という意味での例が増えています 間違いでは? はい、ご指摘の通りです。
食べ歩き、歩き回って食べ物を探すこと、それが、食べながら歩くこと、意味が変わっていますけど? これには賛意を示しています。
中には、視聴者の指摘にはもっともなものもあります。

読書メーター

広島ブログ

2023年9月21日 (木)

無人島、研究と冒険、半分半分。

「無人島、研究と冒険、半分半分。」川上和人 東京書籍
前に読んだ本に「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」があって
川上和人は面白いと深く印象付けられました。
著者は現在50歳くらい。
この本で、南硫黄島を探検していますが、それは30歳くらいのころ。
まだ研究者若手のころです。
実は、40歳のころ、再び南硫黄島を探査しています。
最初は下っ端、今度は研究コーディネーターという役目を帯びている。
50歳の今では、現場に出るのは若手に譲らなきゃならないかどうか。
筆致が多彩。テレビバラエティの構成作家もできるんじゃないか、ギャグとくすぐりに満ちています。
鳥類学者だから本筋を外してはいませんが、ひたすら本筋ばっかりでは飽きてしまう。
かなり頻繁にギャグとシャレを交えています。
東大、東大大学院を経て、森林総合研究所鳥獣生態研究室長。
大学以外でも研究者の道はあるのだ。

読書メーター

広島ブログ

2023年9月18日 (月)

こぼれ桜 摺師半次郎人情暦

「こぼれ桜 摺師半次郎人情暦」梶よう子 角川春樹事務所
シリーズもので「いろあわせ」「父子ゆえ」これで三作目です。
短編5篇ですが、生まれ合わせはこういうことだったのか。
半次郎はもともとは武士の生まれです。大火事で家も焼け、両親も焼け死にました。
父の弟が家を継ぎ、半次郎は死んだと処理されました。
その後、叔父には子供がいない。
半次郎の子、信太を養子にもらいたいと申し出た。
もちろん、お断りです。
錦絵、絵草紙、絵師がいて、彫師がいて、摺師がいます。
それぞれの作業工程に詳しい。業界の教科書にも使えるね。
錦絵に、絵師、彫師の名前はあっても、摺師の名前はない。
そういう世界です。

読書メーター

広島ブログ

2023年9月14日 (木)

百鬼大乱

「百鬼大乱」新保雄一 講談社
とても読みにくい小説です。
主人公は太田資長、幼名は源六、後世、道灌の名前で知られています。
足利幕府のころ、関東には鎌倉公方がいて、さらに関東管領がいます。
両社は勢力争いを重ね、鎌倉は焼け、古河に移って古河公方と称します。
鎌倉公方・古河公方は奉公衆に支えられ、奉公衆の巨魁は簗田持助です。
関東管領は上杉、太田の家は管領方に所属します。
ここまでが半分。
前半分は父太田資清が主人公、後半分は子太田資長、出家後の名前は道灌。
京都は応仁の乱で、関東の混乱を仲裁する手はない。
太田資長は手を尽くして、上杉管領が関東を掌握するまでに至った。
世の中、ねたみ、そねみ、面子というものがあります。
あまりに功ありて、暗殺されます。
読み終わって脱力感、今まで読むのに苦労したのはなんだったんだろう。

読書メーター

広島ブログ

2023年9月12日 (火)

霜月記

「霜月記」砂原浩太朗 講談社
ご存じ神山藩のことです。
草壁聡次郎、まだ18歳の身ながら家職の町奉行を拝命する。
父藤右衛門は家督相続・隠居願いを提出したまま出奔してしまった。
聡次郎は料理屋賢木に寓居する、祖父左太夫に相談した。
町奉行に就任して、町人が殺される事件があった。
死者は豪商信濃屋の三番番頭だった。
ここから町奉行の詮議が始まる。
時の筆頭家老は佐久間隼人正、政変を経て筆頭家老に就任したのだ。
詮議の末、家老を追い落とした。
この家老は第一作・第二作での家老ではない。
何度も政変があった藩なのだ。
四作目、五作目と海山藩シリーズは続くだろうが、これからも何度も何度も政変があると思いますよ。
神山藩は日本海に面する藩、城と港とのは一日がかりの行程がある藩なのだ。
楷書の小説で、エロな場面やほれたはれたのお話はでてきません。
場面場面での語り出しが誰のことか分からなくても、追々分かってくる語り口で、時々、迷う。

読書メーター

広島ブログ

2023年9月10日 (日)

マル暴ディーヴァ

「マル暴ディーヴァ」今野敏 実業之日本社
前々作「マル暴甘糟」前作「マル暴総監」の発展版です。
甘糟は巡査部長暴対係、総監とは警視総監です。総監は夜の見回り(お前は遠山の金さんか)をやっている。
ヤクザのフロントが絡むヘロインの摘発事件です。
他に出るのは、元警視監、ジャズクラブのマスター、現役の警視正、趣味でジャズシンガーをやっている。
もちろん薬物の摘発はみごとに逮捕に至りますよ。
設定がこんなに飛び跳ねた設定ですもの、シリアスな小説ではありません。
くすぐりのキーがあちこちに転がっています。
そのキーを踏んで、ほら、くすっと笑った。またくすぐりの仕掛けに引っ掛かった。
ディーヴァとは何かをこの本では明かしていません。
オペラ業界では歌姫なんだそうです。
ジャズシンガー、彼女を歌姫とほめたたえているわけです。

<p><a href="https://bookmeter.com/books/19952900" target="_blank"><img alt="読書メーター" src="https://bookmeter.com/assets/common/logo-2bd6d48f3447beaa56041246b812bc2eb6e11706e1fea2ab027ac1d3420ba78d.svg" style="border: 0px none; width: 150px; height: 28px;" /></a></p>
<p><a href="http://sherpaland.net/" target="_blank"><img src="http://sherpaland.net/sherpabanner.gif" style="border: 0px none; width: 151px; height: 38px;" /></a></p>
<p><a href="http://www.hiroshima-blog.com/wj.php?cd=04yb" target="_blank"><img alt="広島ブログ" src="http://www.hiroshima-blog.com/area/banner001.jpg" style="border: 0px none; width: 150px; height: 30px;" /></a></p>

2023年9月 7日 (木)

転職の魔王様 2.0

「転職の魔王様 2.0」額賀澪 PHP文芸文庫
前作 転職の魔王様 と設定は同じ。
プロローグ
第一話 大事な部分って働いてみないとわからないんですよ
第二話 求職者の人生に責任を持つことはできません
第三話 転職を生き甲斐みたいにしては駄目です
第四話 優等生は、社会に出たら気をつけないといけないんですよ
第五話 大人なんだから、自分で決断すればいいんですよ
エピローグ
前作と違うのは、転職の天使様が現れること。
第五話で、主人公未谷千晴に大転換が出現すること。
垣根涼介に「君たちに明日はない」のシリーズがあります。
そっちは首切り、こっちは転職、似てはいても、大違いです。

読書メーター

広島ブログ

より以前の記事一覧

最近のトラックバック

2023年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31