無料ブログはココログ

2018年8月 8日 (水)

宇喜多の楽土

「宇喜多の楽土」木下昌輝 文芸春秋
備中備前美作の太守、宇喜多秀家の物語です。
宇喜多家では殿の威光が行き渡っているわけではなかった。
毛利と領地の争いをしていた。
対毛利と対家中のため、家中への安堵状に豊臣秀吉の添え判をもらった。
のとのち、これが問題の種となった。
家中は、宇喜多家の属臣であり、豊臣家の直臣でもあり、非常に扱いづらい。
領土の安堵に代えて、宛行(あてがい)=俸禄で処遇する方式に変更した。
この時も、秀吉の添え判をもらって強行した。
朝鮮征伐から関ケ原、宇喜多からの目で見るのはなるほどの納得があります。
児島湾の干拓、干拓して流民を定住させる、そこが楽土となる。
お話しの底流にはそれがあります。

読書メーター

広島ブログ

2018年7月31日 (火)

昆虫学者はやめられない

「昆虫学者はやめられない」小松貴 新潮社
サブタイトルに、裏山の奇人、徘徊の記
いやぁ、達者な文章だ。聞いたこともない昆虫だが、筆者の描写で息が通う。
ここからはわたしの感想を述べます。
アズマキシダグモ、ヒゲナガアワトビケラ、ヒメドロムシ、メクラチビゴミムシ
種の特徴を和名は描き出している。
ただし、一目読みはできない、一文字づつ、つぶやきながら読まないといけない。
現職は、国立科学博物館で協力研究員とのこと。
給料は出るのだろうか。
正社員なのだろうか、臨時雇用なのだろうか。
学者世界の過酷さが判って来て、学者に未来はあるのだろうか。
この原稿は、新潮社「Webでも考える人」(http://kangaeruhito.jp/)に連載されたもので
文章の味、面白さはそこで磨かれたものでしょうね。
こういうサイドワークが無いと、学者はやっていけないだろうなぁ。

読書メーター

広島ブログ

2018年7月27日 (金)

この世の春(下)

「この世の春(下)」宮部みゆき 新潮社
前の藩主は子どものころ、父藩主に性的な苛めを受けていた。
藩の隠密に陰廻がいる。もうひとつ、別の組織に狭間がいる。
父藩主がその狭間の女にたぶらかされてのことなのだ。
陰廻と狭間の戦いが始まる。
読み終わって振り返ると、なんとまぁ、ロマネスクを広げたもんだなぁ。
気味が悪いとか、読むに堪えないとか、そんなことはない。
ただ、幼児への性嗜好、親子相克、書き難い事をよくまぁ書いたもんだ。
もうひとつ、性的関係がなくても相思相愛の夫婦がいる。
それらを抵抗なく読ませるとは、著者の腕はたいしたもんです。
週刊新潮の連載だそうです。

読書メーター

広島ブログ

2018年7月26日 (木)

この世の春(上)

「この世の春(上)」宮部みゆき 新潮社
主君押し込め、藩主を廃して新しく藩主を迎え入れる。
時々人格が変わる。子供になったり、女になったりする。
居城で異変が起きるのならともかく、江戸城内で異変が起きると、藩が取り潰しになる。
主人公は新しい藩主ではなく押し込められた藩主の方なのだ。
山の中に藩主の別邸、五香苑がある。そこに座敷牢を組んで押し込められた。
前藩主の世話を各務多紀が命じられた。
御霊操(みたまくり)の一族なのだ。
あの世の霊を呼び出すのだが、藩主の人格が変わるのはどこかの霊があやつられているのではないか、お話しとしては傍流のお話し。
下巻に続く。

読書メーター

広島ブログ

2018年7月21日 (土)

砂の家

「砂の家」堂場瞬一 角川書店
この小説、刑事ものではありません。新聞記者ものでもない。スポーツものでもない。
普通のサラリーマンの大変な事件です。
もとを言えば、10歳の時、父親が妻と娘を殺し、刑務所に入った。
残された少年は、人殺しの子、と爪弾きされ、いじめられて育った。
ふとした成り行きで、新興外食王の目に留まった。
社長は助けてくれた。
そこからは社長の恩顧に報いるのが人生の目的になった。
社長の過去のあれこれが恐喝の対象になった。
最初の読み始めが、重いお話しだな、読み終わって、やはり重いお話しだな。
読まずに避けたほうが安全かもしれません。

読書メーター

広島ブログ

2018年7月15日 (日)

荒神

「荒神」宮部みゆき 朝日新聞出版
「三島屋変調百物語」の「おそろし」「あんじゅう」などの幽霊・お化けのお話しかと思って取り付いたが
怪物のお話しだった。
永津野藩、香山藩の間に確執があって、藩の境に大平良山がある。
そこに怪物が現れる。
両藩の人物が大勢出て来るが、巻頭に主な登場人物表がある、それに頼らずとも、これは誰、と判定できる。
キーは、怪物が誕生したいきさつで、人間の悪意・妬みなどが元になっている。
お化けの話は怖いが、怪物のお話しは怖くないです。

読書メーター

広島ブログ

2018年7月14日 (土)

変幻

「変幻」今野敏 講談社
潜伏捜査がテーマです。
もちろん、潜伏捜査は禁じられていますが、密かに実行されています。
半グレが殺されました。捜査一課は所轄と捜査に当たります。
捜査一課と所轄のさや当てがひとつの柱、これは読んでいて面白い。
同期の女性警官が監視カメラに写っているのを見つけます。
このままでは、潜伏捜査中に犯罪に加担したとみなされます。
もう一人の同期に助けを求めます。
表向きは懲戒解雇ということで、公安の手助けをしているらしい。
犯人検挙と同期の救出が結びついています。
同期の二人が同期の窮地を救う、という麗しいお話しです。

読書メーター

広島ブログ

2018年7月 7日 (土)

俺はエージェント

「俺はエージェント」大沢在昌 小学館
ソ連が崩壊して以来、スパイ業界は休眠に入ってしまいました。
アルファというスパイの連合組織が出来て、対抗するために、オメガという組織が出来ました。
どっちも休眠に入っています。
コベナントが発動されました。
70歳80歳の老人のスパイたちは動き始めます。
日本の公安も老スパイたちに監視を張り付けていました。
戯文ではありませんが、状況はじゅうぶんに戯文です。
語り口はギャグではないが、最初から終いまで、ギャグと言えばギャグです。
読んでいて、思わず知らず、くすくすと笑ってしまいます。
作家は、あの新宿鮫の大沢在昌ですよ。こんなハチャメチャなお話しを繰り広げるとはびっくりです。
あとからあとから登場人物が増えて行きます。
整理しきれないまま読み続けていきます。
絵巻物を広げているような気がするなぁ。
最後は、納まるところに収まって、伏線は全部回収されたんでしょうね。
やめられない、とまらない、〇っ〇え〇せ〇、というCMがありましたが
ほんま、とまらない、次々とページをめくりたくなります。

読書メーター

広島ブログ

2018年7月 2日 (月)

6月に読んだ本

先月は異様に少なかったです。
別に読めない環境じゃなかったのにね。

 

6月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:1086
ナイス数:90

新選組の料理人新選組の料理人感想
菅沼鉢四郎という浪人がいる。もののはずみで新選組に入った。剣の腕を買われたわけではなく、料理人として入ったのだ。士道不覚悟、危うく切腹の寸前まで行った。鉢四郎は語り手なんですよ。壬生の屯所の頃から、西本願寺の時代、大坂に屯所を構えることもあり、都の土居の果てに不動堂村がある。そこに屯所を移すことにする。その頃になると、大政奉還、王政復古、もう新選組は解散することになる。新選組の勃興から解散まで、台所の料理人の視点からの通史です。菅沼鉢四郎とは実在の人物なんですかねぇ。門井慶喜創造の狂言回しかもしれません。
読了日:06月30日 著者:門井慶喜

 

国会議員基礎テスト国会議員基礎テスト感想
政治家三代目のぼんぼん議員がいます。そこへ、政策秘書として採用された。議員はぼんぼん過ぎて役に立たないじゃないか。蹴落として選挙区を奪おう。テレビの企画で、不意打ちで試験問題を出す、その結果、落第点だった。与党幹部から問題にされて議員辞職した。その補欠選挙で、政策秘書が当選した。このように紹介すると、善玉が政策秘書で、悪玉がぼんぼん議員のように見えますよね。ここから波乱が始まります。かの新議員は、選挙の前に国会議員基礎テストを実施することを政策として打ち出した。幹部の不興を買って、離党を余儀なくされた。
読了日:06月20日 著者:黒野 伸一

 

テーラー伊三郎テーラー伊三郎感想
主人公、高校生津田海色(アクアマリン)、副主人公、テーラー伊三郎、アクアマリンの母はエロ漫画家で、アクアマリンは背景を描かされている。アクアマリンは古いテーラーの店の中にコルセットがマネキン台に飾ってあるのを見つけた。解る。西洋貴族の漫画の背景を描いているので、このコルセットが忠実に再現されているのが解る。このコルセットを一着だけ置くのではなく、何着も店頭に飾ることを提案する。ここからは怒涛の展開です。写真店、美容院、医者、刺繍職人、みんな老人ばっかり、応援を頼んで突き進む。結果、ハッピーエンド。
読了日:06月06日 著者:川瀬 七緒

読書メーター

広島ブログ

2018年6月30日 (土)

新選組の料理人

「新選組の料理人」門井慶喜 光文社
菅沼鉢四郎という浪人がいる。
もののはずみで新選組に入った。
剣の腕を買われたわけではなく、料理人として入ったのだ。
士道不覚悟、危うく切腹の寸前まで行った。
鉢四郎は語り手なんですよ。
壬生の屯所の頃から、西本願寺の時代、大坂に屯所を構えることもあり、都の土居の果てに不動堂村がある。そこに屯所を移すことにする。
その頃になると、大政奉還、王政復古、もう新選組は解散することになる。
新選組の勃興から解散まで、台所の料理人の視点からの通史です。
菅沼鉢四郎とは実在の人物なんですかねぇ。そこは知らん、門井慶喜創造の狂言回しかもしれません。

読書メーター

広島ブログ

より以前の記事一覧

最近のトラックバック

2018年8月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31