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2019年11月13日 (水)

定価のない本

「定価のない本」門井義信 東京創元社
神保町の古本屋の主が亡くなった。
本に圧し潰されて圧死したのだ。
同業の古本屋の亭主が助けに出て、ものはずみで、進駐軍GHQの仕事を請け負うことになった。
専門は古典籍、GHQが大量に買い付けを始めた。
後になって、買い付け理由がわかった。
歴史資料、断簡、古文書を日本から洗いざらいアメリカに持っていくのだ。
日本は歴史を失う。歴史の根拠を失う。日本人の精神を骨抜きにするのだ。
古書籍商の反撃が始まる。
GHQを手玉に取る。
どのように手玉に取るかは、そこは読んでくれなきゃ。
本で圧死したのは事故ではなく殺人だと、最初からわかっている。
犯人は進駐軍?共産主義者?それとも同業者?
最後に、犯人のタネアカシがあります。

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2019年11月 6日 (水)

銀二貫

「銀二貫」高田郁 幻冬舎文庫
天満の天神さんの門前で仇討ちの切りあいが始まる。仇の親は切られ、子供にまで及ぼうとしている。
待っとくんなはれ、その仇討ち、銀二貫で売っとくんなはれ。
寒天問屋井川屋の主人は思わず声をかけた。
もともと銀二貫は天満の天神さんに寄進するはずだったのだ。
銀二貫で浪人の子を買うた。あんたは丁稚や、侍の名前を捨てて、松吉と名乗るんや。
松吉は働いた。
寒天の新しい用途を開発した→羊羹。
ねっとりとした人情噺です。松竹新喜劇でもお似合いです。
心動かされます。このお話は琴線を揺るがすなぁ。
昔、NHKのテレビドラマで見た記憶があります。
店主が津川雅彦、番頭が塩見三省、少年少女は覚えていないが、ええドラマでした。
銀二貫、寄進するはずの金が流用されるのは、仇討ちを買うだけじゃないのです。
人助けのため、商売援助のため、何度も使われます。
さらに、仇討ちに投げ出した金が、意外なところで、世のため人のために使われています。
巻末で、銀二貫はきちんと無事に天満の天神さんへ寄進されます。

銀二貫は、重量にして7.5キロ、現在の貨幣価値で、2百万円から3百万円くらい。
仇討ちで命を買うとき、懐に銀二貫を麻袋に入れて腹に巻いていました。
天満の天神さんに寄進しに行くのに、風呂敷や手提げ袋で持つのではなく、懐に巻いて歩いていたのですねぇ。

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2019年11月 5日 (火)

地に滾る

「地に滾る」あさのあつこ 祥伝社
ちにたぎる、と読みます。
前作「天を灼く」の続編です。
謎を広げたまま後編に入って、どれだけ江戸藩邸を攻略するかと思ったが
意外にも、一点突破、これで失敗したらどうするの。
ええ、うまいこと事が運びます。世間には善良な人が多い。
前髪立ちの元服前の少年に出来ることにしては大したもんです。
うまく藩政改革の始まりにたどりつきました。
ほんとは、この先が知りたい。
少年は元服して、組頭の地位に復帰して、執政に組み入れられる先を知りたいもんです。
でも、それは叶わない。
これは少年小説なんです。青年剣士になると別のお話になります。
この小説、漢字、漢語が豊富に出てきます。フリガナが振ってあるから読めます。
そうか、こんなケースでこの漢字を使うのか。
見たことない漢語が出てきたぞ。ほう、こんな場面で使うのか。
あさのあつこ、どこからこんな識見を仕入れてきたんだろ。

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2019年11月 3日 (日)

10月に読んだ本

10月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1982
ナイス数:70

薫風ただなか薫風ただなか感想
鳥羽新吾、14歳、16歳で「烈風ただなか」がある。てっきり、謎が共通で、「薫風ただなか」が謎かけ篇で、「烈風ただなか」が謎の解決篇だと思っていた。シチュエーションは連続するが、それぞれ別のお話だった。藩学で、中老瀬島の子息とその取り巻きからいじめ迫害を受けてきた。郷校、薫風館に移った。そこで、間宮林太郎、栄太の友を得た。重臣の中で暗闘がある。そのとばっちりで栄太は傷を負った。瀬島の息子の取り巻きも大勢殺された。瀬島の息子は切腹した。14歳程度のまだ子供ですよ。今なら中学生程度の子供が立ち向かっている。
読了日:10月26日 著者:あさの あつこ


烈風ただなか烈風ただなか感想
鳥羽新吾は16歳、石久藩、郷校薫風館に通っている。間宮弘太郎、栄太は親友、薫風館に通って友を得た。父には謎がある。職を去り、家を去って、別の家に住まいしている。重臣の間には派閥があり、表の戦いがあり、裏の戦いもある。幕閣、草屈(くさかまり)、間狩者(まがりもの)、藩主、重臣、それぞれ別の思惑で動いている。これは謎かけの解決篇なのだ。鳥羽新吾は14歳のころの「薫風ただなか」謎かけ篇を読まなきゃなるまいて。謎々を読むのに解決篇から謎かけ篇へ、こういう読み方をしちゃいかんなぁ。鳥羽新吾、二人の友と共にどう動くか
読了日:10月24日 著者:あさの あつこ


へぼ侍へぼ侍感想
西郷隆盛が下野して、新政府に反乱をしかけた。政府は壮士隊を徴募して、幕府の士族を軍隊に組み込んだ。志方錬一郎は壮士隊に応募した。まだ17歳で、大阪町奉行与力の息子で、今は薬商の手代を務めている。旦那さんに断りを入れて、壮士隊に入った。周囲はいずれも老練の腕達者に見える。その中で、錬一郎は小隊長に任命された。九州で薩摩討伐に駆け回る。錬一郎は道場で師範代の腕前だったが、刀に非ず、鉄砲を撃ちまくる毎日なのだ。商人の才覚で、西郷札を引き取る、代わりに住民から情報を聞き出すことに成功する。転戦の最後に、西郷と面会
読了日:10月20日 著者:坂上 泉


絵里奈の消滅絵里奈の消滅感想
主人公は退職した私立探偵。刑事だったころにパクったコソ泥がいる。19年前にわたしが始めて逮捕したのだ。そいつは河口で溺死した。生きてる最後にわたしに電話している。仕事中なので電話は取らなかった。周辺を探ってみると、娘のことで相談があったようなのだ。依頼があったような、なかったような状態だが、調べて見ることにする。別れた嫁さんとの間に確かに娘がいるようなのだ。その嫁さん、何度も結婚離婚を繰り返していて、父親の違う兄弟が何人もいる。お話の運びはするすると読みやすいのですよ。内容は反吐が出るほどひどいことだ。
読了日:10月15日 著者:香納 諒一


あの夏、二人のルカあの夏、二人のルカ感想
血まみれ誉田哲也と爽やか誉田哲也とがあります。表紙の絵からすると、爽やか誉田哲也だろうな。離婚して名古屋から東京に戻ってくる。女子高生がバンドを始める。なんか脈絡のないふたつの流れがあるなぁ。あれ、時間差があるお話なのじゃないかな。14年前の女子高生、アラサーのわたし。半分まで読んで分かってきた。そういうことか。ずばり、告げる、そのバンドの子がわたしです。女子高生のガールズバンドには血沸き肉躍ります。14年後のあなたの姿には似通うものがないよねぇ。そこを繋げて行くのが、物書きの腕です。
読了日:10月13日 著者:誉田 哲也


雨上がり月霞む夜 (単行本)雨上がり月霞む夜 (単行本)感想
西條奈加の小説は、今ではすっかり長屋もので名を上げていますが、スタートはロマネスクです。ロマネスクにピカレスクを混ぜた、すさまじい小説でした。主人公は雨月、相棒に秋成、のちのち、上田秋成として世に出ます。それに紛れ込むのが兎、遊戯と名を持つあやかしなのだ。いえいえ、騒動が起きるわけじゃありません、いえ、騒動はあります。騒動の元は、怨霊だったり、あやかしだったり、そういう種類の小説なんです。章が終末に近くなり、雨月の正体が明らかになります。伝えなくても分かるでしょ。上田秋成「雨月物語」が誕生するまでを語って
読了日:10月08日 著者:西 條奈加

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2019年11月 1日 (金)

天を灼く

「天を灼く」あさのあつこ 祥伝社
てんをやく、と読みます。
主人公はまだ元服前、父は無実の罪で切腹した。
藩は重臣の横行で潰れそうになり、藩主は歯噛みしている。
このあたりは葉室麟と同じ路線を走っている。
違うのは葉室麟には主人公に毒があり、あさのあつこの主人公は爽やかなことだ。
「バッテリー」から始まった少年小説の系譜はまだ続いている。
今はいくら理不尽なことが続こうと、必ず明るい結末が待っているはずだ。
起承転結の起承部分。謎かけ部分だけで、謎解き部分は次の本に先送りしている。
伏線を張るだけ張って、その回収は次作に丸投げ。
乞う、ご期待。
最後は脱藩して江戸に向かう。

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2019年10月26日 (土)

薫風ただなか

「薫風ただなか」あさのあつこ 角川書店
鳥羽新吾、14歳、16歳で「烈風ただなか」がある。
てっきり、謎が共通で、「薫風ただなか」が謎かけ篇で、「烈風ただなか」が謎の解決篇だと思っていた。
シチュエーションは連続するが、それぞれ別のお話だった。
藩学で、中老瀬島の子息とその取り巻きからいじめ迫害を受けてきた。
郷校、薫風館に移った。そこで、間宮林太郎、栄太の友を得た。
重臣の中で暗闘がある。
そのとばっちりで栄太は傷を負った。
瀬島の息子の取り巻きも大勢殺された。
瀬島の息子は切腹した。
14歳程度のまだ子供ですよ。
今なら中学生程度の子供が立派に判断して立ち向かっている。
時代小説なればこそだなぁ。
現代が舞台なら、今の中学生が大人混じりして、核心に近づいていくとは、お話として成り立つはずもない。

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2019年10月24日 (木)

烈風ただなか

「烈風ただなか」あさのあつこ 角川書店
鳥羽新吾は16歳、石久藩、郷校薫風館に通っている。
間宮弘太郎、栄太は親友、薫風館に通って友を得た。
父には謎がある。職を去り、家を去って、別の家に住まいしている。
重臣の間には派閥があり、表の戦いがあり、裏の戦いもある。
幕閣、草屈(くさかまり)、間狩者(まがりもの)、藩主、重臣、それぞれ別の思惑で動いている。
鳥羽新吾、二人の友と共にどう動くか。
これは謎かけの解決篇なのだ。
鳥羽新吾は14歳のころの「薫風ただなか」謎かけ篇を読まなきゃなるまいて。
謎々を読むのに解決篇から謎かけ篇へ、こういう読み方をしちゃいかんなぁ。

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2019年10月20日 (日)

へぼ侍

「へぼ侍」坂上泉 文芸春秋
西郷隆盛が下野して、新政府に反乱をしかけた。
政府は壮士隊を徴募して、幕府の士族を軍隊に組み込んだ。
志方錬一郎は壮士隊に応募した。
まだ17歳で、大阪町奉行与力の息子で、今は薬商の手代を務めている。
旦那さんに断りを入れて、壮士隊に入った。
周囲はいずれも老練の腕達者に見える。
その中で、錬一郎は小隊長に任命された。
九州で薩摩討伐に駆け回る。
錬一郎は道場で師範代の腕前だったが、刀に非ず、鉄砲を撃ちまくる毎日なのだ。
商人の才覚で、西郷札を引き取る、代わりに住民から情報を聞き出すことに成功する。
転戦の最後に、西郷と面会する奇跡まで起こす。
この当時を題材とする小説は少ない。
おもろい。

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2019年10月15日 (火)

絵里奈の消滅

「絵里奈の消滅」香納諒一 PHP
主人公は退職した私立探偵、名刺には調査員と書いてある。
刑事だったころにパクったコソ泥がいる。19年前にわたしが始めて逮捕したのだ。
そいつは河口で溺死した。
生きてる最後にわたしに電話している。仕事中なので電話は取らなかった。
周辺を探ってみると、娘のことで相談があったようなのだ。
依頼があったような、なかったような状態だが、調べて見ることにする。
別れた嫁さんとの間に確かに娘がいるようなのだ。
その嫁さん、何度も結婚離婚を繰り返していて、父親の違う兄弟が何人もいる。
お話の運びはするすると読みやすいのですよ。
しかし、内容は反吐が出るほどひどいことだ。
何人も人が死にます。
悪いのは兄だが、育てた親が悪いね。
後味の悪い読後感です。

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2019年10月13日 (日)

あの夏、二人のルカ

「あの夏、二人のルカ」誉田哲也 角川書店
血まみれ誉田哲也と爽やか誉田哲也とがあります。
表紙の絵からすると、爽やか誉田哲也だろうな。
離婚して名古屋から東京に戻ってくる。
女子高生がバンドを始める。
なんか脈絡のないふたつの流れがあるなぁ。
あれ、時間差があるお話なのじゃないかな。
14年前の女子高生、アラサーのわたし。
半分まで読んで分かってきた。そういうことか。
ずばり、告げる、そのバンドの子がわたしです。
女子高生のガールズバンドには血沸き肉躍ります。
14年後のあなたの姿には似通うものがないよねぇ。
そこを繋げて行くのが、物書きの腕です。

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